UMIEという場所
November 19, 2015撮影した映像の一コマ。
依頼して頂いたのは15周年を迎える高松の或るカフェのアニバーサリー映像。前回夏の空気の残る快晴の夕景と朝陽の中の景色を撮ったのに次いで今回はそれぞれ店、そして店主と深い関係を結んでしまった15人ほどの人々を雨天の中で昼夜二回、客席に迎えて日帰りで撮影。
或る街にカフェなるものが出き、そこが居場所になったり、家のようになったり、恋を語らう場となったり、憧れて働く場になったり、作品をおそるおそる披露する場になったりする。つまり、それぞれの人生の結節点となっていくということをインタビューを通じて確認できた。痛いほどなにかを理解した。人々の目に光るものの前駆体のようなものが見え隠れするを見た。15年という時間の長さに感慨や寂寥があり、嘆息があった。撮影し乍ら、自分とは直接関係がないことなのになぜか自分の感慨であるかのような錯覚に囚われた。なんでだろう。
おそらく僕の実家もカフェだったからだ。17年目にしてつい先日店じまいした喫茶店のことを偲んだ。
なにかを始めなくてはなにも生まれないが、悪戯になにかを無責任に始めてしまい、かつ勝手に頓挫させていくような時代の流れに無言の抵抗をするかのように、店の「はじまり」から既に「昔からあったよう」なカフェの店主は、自らの才を否定しつつ、ただ一つ挙げるならば「続ける才能」だと呟く。
居心地というものは、人から見えない気の遠くなるような労力と、膨大な量の物語によって醸されるのかもしれない。
そういう言葉に簡単にできないものを、映像化できたらと思っている。
ちなみに前回の撮影はこんな感じ。公開は来年2末くらいになるかと思います。